ブザー
夏の人ごみってうっとうしいよな。蒸れるし暑いし。
今日も、仕事で疲れてるとこに帰宅ラッシュの電車でダメージ受けて、
うんざりしながらマンションに帰ってきたんだよ。
エレベーターを待ってたのは、
おばさん、じいさん、小学生低学年くらいの男の子が2人、
男子高校生、黒いスーツの男、
背中にガキをおんぶして、幼稚園児の手を引いた若い母ちゃん。
次々に乗り込んで、最後に俺が乗った。
けど、ドアを閉めようとした時、白いワンピースの女がするりと乗ってきたんだよ。
で、「ブー」ってブザーが鳴ったんだよな。定員が九人だからさ。
恥ずかしそうに降りようとするから、代わりに俺が降りてやった。
彼女は「ありがとう」と小さく笑った。それが可愛くてさ。
まぁ、単に俺は満員が狭くて嫌なだけだったんだけどw得した気分w
そうそう、部屋に帰ってテレビつけたらニュースやっててさ、
なんかどっかのOLが行方不明なんだってよ。
解説
定員が9名のエレベーター。
ワンピースの女性が乗った時点で延べで11人だが、
幼稚園児や赤ん坊の体重など成人に満たない上、
小学生も2人合わせてようやく成人一人分と換算される。
(建築基準法により1人65kgで計算されている。)
文章内に見た目の特徴が書かれているが、
全員とも「太っている」や「背の高い」などの印象は無いため、中肉中背と予想される。
算数の計算になるため少し面倒だが、
ワンピースの女性が乗った時点でも十分に乗り切れる筈である。
それなのにブザーは鳴った。
つまり、エレベータには視界に入らないところで重しが乗せられている。
天井に、行方不明のOLが乗っているのだ。
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