山の崖
この山の崖は景色が良くてちょっとした名所。
展望台に出ると風が気持ちいい。
先には望遠鏡が設置されている。
自分の家はあっちの方角かな、なんて考えながら近づくと同じタイミングで一人の男が近づいてきた。
そこは自殺の名所でもあった。俺もそれでここに来たのだ。
もう一人の男も同じ目的だろう、顔を見た瞬間ピンときたのだ。
「あ、お先にどうぞ」
最後の最期に人に親切にしておくのも悪くない。そう思ったのだ。
だが、それが失敗だった。
『ありがとうございます』
男は身を投げた。
あの時譲らなければよかった。
全身に痛みを感じながら俺は後悔している。
解説
主人公も崖から飛び降りたが、先に身を投げた男がクッションになり死ねなかった。
全身に強い痛みを感じながら生き続ける事に後悔している。
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